会場には展示しなかった。
控え室においてあって、会員達はみんな見た。
写真を出したいが、著作権があるので、文章だけ書いてみる。
彼女は通常はアマチュアの絵本を作る人だ。
今回も2冊の絵本が置かれていた。(この2冊も地味だが、シミジミしていい本だ。)
それと美しい布を貼った箱の中。
その中に黒い布張りで、真っ白な鳥の標本が入って透明のアクリルガラスで蓋がしてある。
それは、彼女が死んだ五位サギを拾って来て、羽根をむしって、体は鍋でグツグツ煮て骨を取り上げて、正確な骨格標本を作って、透明なピンで留めたものだ。
骨は真っ白で細くて、長い首を曲げて美しい形をしている。
そのうえ、彼女の手作りの標本だけじゃあ無い。
絵本が付いている。
絵本の主人公がその死んだ五位サギだ。
五位サギが生きている時にオオタカに追われて逃げる場面から始まっている。
逃げ切れなくて、ついにオオタカに襲われて、一撃で倒され、肉を食われて死んでしまった。
それからの五位さぎの独白は、自分の生まれたところ、雄でまだ幼鳥で親鳥と違う羽根の色や、自分は死んでしまったが、自分の体の一部がオオタカのひな達に運ばれて、食われた。
自分が死ぬことによってオオタカのひなの役に立ったので、死んだけど悲しまない。
自分は骨になったが、右耳と左耳の骨の間に自分の魂が陣取って、皆の幸せを祈っている、・・・が結末で、最後のページに美しい白い斑点の入った羽根がポリ袋に入って、貼付けてある。
最後のところでジーンとさせられる。
絵本の表紙も中の絵も文章も全部Tさんが作った。
絵本だけでもなく、手製の標本がついていて、その標本がもの凄く美しい。絵本のストーリー展開もなかなかで、この分野の展覧会や、コンクールなどもないらしい。
Tさんひとりで、新しいフィールドを開拓したのだ、すばらしい。
ウーン、これこそ誰も踏み入れたことのない新しい芸術と言える。
埋もれるのは惜しい。
今日は展覧会の懇親会という名目の飲み会で、腕組み会長のご挨拶では、Tさんの新しい作品が新分野と思われ、素晴らしいと一言いわせてもらった。
明日は最終日。
ラベル:展覧会