昨日の井上眼科の待合室で、ベンチの隣りの女性と話した。
最初は彼女が「お姉さんはお若い声をしていらっしゃるけど、今日は何でいらっしゃったのですか?」と聞かれたので、「?」っと思ったのだ。
王女の顔が見えないようだ。
簡単な自己紹介をして彼女がツカモトさんという名前で、王女より2歳若いと分かった。
自分の今の目の状態の話しだったが、その人は腕組み王女の白内障とは違って、厳しい状況に置かれている。
優しいお顔の墨田区から来たツカモトさんは、子供の頃から強い近眼で医者に60歳頃には失明すると言われたそうだ。
今は両目が緑内障で、右目は失明、左目がかすかに光が分かる程度なんだそうだ。
井上眼科にはもう27年間も通っていて、治療法はないから10種類もの目薬をもらいに来ているのだそうだ。
電車でお茶の水まで来るのは大変ではないですか?と聞くと、折りたたみ式の白い杖(ハクジョウと言っていた)をもって歩くのだそうだ。
ツカモトさんは大きくなった井上眼科は通い慣れているから広いロビーや廊下もスムースに歩ける。
呼び込みが有って別れる時に「ロビーですれ違っても、腕組みさんのことが分からないので、ごあいさつはしません。」とおっしゃった。
でも支払などを終えて、またエレベーターを待っているツカモトさんを見かけたので、思わず「ツカモトさん、お大事にね、気を付けてお帰り下さい。」と抱きしめてしまった。
優しいお顔のツカモトさんはちょっと驚いてから「腕組みさんもね。」と涙ぐんだ。
昨日は彼女の顔が頭から離れなかった。
王女はもっともっと自分も人も大切にもっと愛して生きなければいけないと思った。