けれども ヘッセ
けれども 私は青春の刻々を
残りなく味わった 私は嘆くべきだろうか
私のいたわれた胸が、傷とにがさと
悲しみとのみを抱いたことを?
青春がもう一度もどって来て
在りし日のうるわしい面影を備えていたら
あの青春が違った終わり方をしたら、
私は満足するだろうか
ヘッセの詩が書かれた紙切れが50年以上前の自分の詩集から出て来た。
どうも字体がM子の字だ。
その頃M子が留学から日本に帰って来た時に私はこんな詩を書いた
ー 冬の午後にー
帰ってきた友は
午後の窓辺で
知らない国の話をする
サモワールで紅茶をいれながら
私は心に光を見た
北国の春の雪解けのそれを
この人はかがやくばかりに美しく
ここは静か
これは腕組み王女が21歳の時に絶世の美しいM子をうたった詩だ。
そしてたくさんの自作の詩を読み直すと、ありありと50年以上前の青春が蘇ってくる。
まるで昨日起こった出来事のように。
ラベル:詩