2023年11月23日
奥さん、腹切ったのけ?
廊下をwalkしてたら、ラウンジの大型テレビ📺に時代劇が写っていた。
昔の萬屋錦之介の「鬼平犯科帳」だから座って見ようとしたら、いつもテレビの前にいる髭面の車椅子のおじさん?おじいさん?が陣取っている。
構わず「鬼平」を見ると決めてそばに座ったら、話しかけられた。
「奥さん、どこが悪いの?」「奥さん、七十ぐらいけ?」
生粋の茨城弁は本当にわかりずらい。
その上老人だから声が悪いし、マスクでほとんど毎回聞き返して会話した。
その人はリューマチで車椅子なんだそうだ。
その人は夜眠れないこと、1日に1時間リハビリの歩行訓練を受けること、病院で出るご飯はコシヒカリだから美味しいということだけわかった。
腕組王女はしゃべりに敬語など使わないタメ口だから、親しげに思えるらしく午後もラウンジに来て話そうと何度も何度も言われた。
「わからないよ。気が向いたらね。」と言ったんだが、そう何度も要望されちゃってどうも若くみられたのか?お気楽で話しやすそうにみられたのか。
「腹を切っちゃー可愛そーだったね」ってことらしい。
「ま、癌と言われちゃしょーがない。普通に生活してても、なんだって起きるのだから大したことじゃあ無い」というと、「うんにゃ、それはかわいそーだ。」って力説するのよ。
「だから楽しんでいるの。」って言ったら、「??」痩せ我慢のように取られた?
「何にも起こらないよりなんか変化があったら面白いじゃん。」「??」
「奥さん退院したら何すんだ?」って言われても、別に格段の希望もないし、毎日美味しいもの作って食べるだけだ。
誰かと話したいんだねー。しかし方言は難しくて何度も聞き直しちゃう。
入院10日目
今朝は目覚めると「良くなっている。」という実感があった。
昨夜8時ぐらいから寝て、今朝6時の体温、酸素濃度チェック、血圧に回ってきた看護師さんに起こされるまで寝ていた。
すると昨日と今日とでは体調が一新している気がした。「直った!」という気分だ。
試しに10日以上も休んでいたテレビ体操をやってみた。
形ばかりだけど10分間出来た。
廊下に出て歩く。
H型の廊下の突き当たりはそれぞれガラス張りになっていて、2から4人分の丸テーブルと座り心地の良い肘掛け椅子が置いてある。
このかわいらしい丸テーブルに水色のレザー張りの腰をぐるりと囲むような椅子が素敵だ。
解放的なガラスから眺める外の閑静な住宅地を、6時台の朝歩いている人が一人二人、自転車の人が通ったり。
その向こうは畑、そのまた向こうに駅近くの建物群が見え、そのもっと向こうに栃木か群馬の山々が見える。
道路に動く人が見えると不思議に希望が湧く。ヒトは健気(けなげ)だな。
特にここに書くこともないのだが、あらためて優しい心持ちで生きなければいけないと思った。
さて今は7時20分。あと40分で朝ごはん。今朝は7分粥から卒業だろうな?