2023年12月09日
喪中ハガキ
NYに留学中に同じ美術学校で日本人女性と知り合った。
彼女は学校中で有名人のようで顔が広かった。
学内の展覧会でも、教授宅のパーティでもよく顔を合わせた人気者だ。
工事現場の鉄グズやネジなどを使ってオブジェを製作していた。
旦那様は日本に居て大学教授で彼女のNYの生活費は月に30万円送られてもう、2,3年(?)NY生活しているという。
へぇー、贅沢な生活だ!と思った。
泊まるところがない日本人の学生なども彼女のアパートに泊まらせたり世話好きで顔が広くて親切だ。
日本に戻ってからも共通の友達の展覧会や腕組王女の個展会場などでも時々行きあった。
そのうち彼女は小淵沢の別荘で制作三昧で旦那様には愛人がいて別居生活だと打ち明けてくれた。
へぇーっと驚くばかり。なんか現代アーティストっぽいな、と思ったよ。
たまにfacebookで彼女の近況を知ったりしたが、しばらく会うこともなかったら、「喪中ハガキ」がきた。
ご主人が急逝されたとあり、「ひとりになってしまいました!」とペン書きが添えられていた。
その一言で彼女の悲しみと寂しさがドッとわかってしまった。
断片的な話ではうまく行っていない夫婦なんだと思っていたし、それならなぜ離婚しないのかな?とも思っていた。
でも、その一言で他人には理解できない深ーい複雑な暗い河があったのだな。
それぞれの一生が垣間見えるような喪中ハガキだった。