それで返事を下さる方から久しぶりの便りがいただける。
高校時代の恩師から達筆のはがきが届いた。
先生は一度として展覧会を見て下さったことはない。
今は特に体調のこともあってただ「展覧会のお知らせありがとう」とだけ書かれてあった。
そのあとに先生が中学生の頃「画家になりたい。」と祖母に言ったら「生活が出来ないよ。」と言われ、あきらめせめて工業高校の建築科を目指そうと思ったがそれも断念したと、さらりと書かれてあった。
先生がそんなことを思っていた中学生だったことがちょっとだけ伺い知れて、まるで先生と世間話をしているような気分だ。
腕組み王女は少しもかわいげのある生徒ではなかったが、そして先生の心の中なんて想像すらしたこと無く通り過ぎて来たが、この年になって先生のことがほんのひとつまみでもわかって微笑ましい。
先生は画家にならなかったが立派な国語学者になられたのだからすごいもんだ。
展覧会のお知らせだけでも、滅多に会わない懐かしい人達の近況がわかって感慨に耽る。
ラベル:つれづれ